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生活情報 お盆の由来は?精霊馬はどう飾る?お盆の迎え方豆知識

お盆の由来は?精霊馬はどう飾る?お盆の迎え方豆知識

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更新日:2019年08月10日

亡くなったご先祖様の霊が帰って来ると言われている「お盆」。きゅうりの馬となすの牛を飾ることでもおなじみですが、お盆の意味や由来についてご存知でしょうか。今回は、知っているようで知らないお盆の豆知識や、お盆の迎え方についてご紹介します。

お盆の由来は?

お盆は、この世での「業」により苦しむ祖先に代わって生きている者が功徳を施し、先祖を救ってあげたいという願いが込められている仏教行事です。

正確には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言い、「盂蘭」とは地獄の苦しみを解くという意味の梵語が由来の言葉です。また、ペルシャ語で「霊魂」の意味を持つ「ウラヴァン」という言葉がシルクロードを渡り、日本に伝わってきたという説もあります。

「盂蘭盆経」には、こんな話が記されています

仏教を開いたお釈迦様の弟子「目蓮尊者(もくれんそんじゃ)」には、あの世まで見通せる不思議な力がありました。 その力で亡き両親の姿を見てみたところ、母が地獄の餓鬼道で苦しんでいるところを発見します。

目連は神通力で母に食べ物を送りますが、食べ物は全て炎に変化してしまい、どうしても食べさせることができません。

そこでお釈迦様に助けを求めたところ、「7月15日に、修行が終わった僧たちに食べ物を供えて、供養しなさい。そうすればその功徳により、餓鬼道で苦しむ人々を助けることができる」と語りました。

目連が母を救うために7月15日に霊を供養したところ、母は苦しみから解放されて昇天していったそうです。この話が、今の盂蘭盆会に繋がったともされています。

また、一説にはこの時、母が昇天した喜びで我を忘れた目連が踊り狂って喜んだのが、盆踊りの始まりとも言われています。

盂蘭盆会は、本来は7月13~16日の4日間を指しますが、地域によって様々です。現在では、会社の夏休みの関係もあり、8月13~16日を「お盆」とするとらえ方が一般的となっています。

【豆知識】最初のお盆は飛鳥時代

日本で最初にお盆を行ったのは「推古天皇」。1400年前の、飛鳥時代のことでした。その後もお盆は長い間、僧侶や貴族等の一部の人だけが行う特別な行事でした。

やがて江戸時代になると、蝋燭や提灯の生産が進み、一般の人にも定着していきます。当時の職人や商店に仕える奉公人には、正月の他にはお盆しか、殆どお休みらしいお休みはなかったようです。

先祖を迎えるためのしきたり① 精霊棚

13日の朝に、仏壇を清め、先祖の霊を迎えるための「精霊棚(しょうりょうだな)」を作ります。盆棚、先祖棚、霊棚とも呼ばれます。精霊棚の作り方は地域や家によって様々。現在では仏壇の前に小さな机を置いて棚に見立てる方法が一般的です。

15日までの朝・昼・晩は食事と水を欠かさず供え、線香と灯明も絶やさないようにします。ここでは精霊棚の一例をご紹介します。

1.位牌
…先祖の位牌を並べます。

2.きゅうりの馬となすの牛(精霊馬)
…先祖の霊は馬にのり、牛に荷物を引かせて帰って来るとされています。来る時には馬に乗って早く来て、帰る時には牛に乗ってゆっくり帰ってほしい、という願いが込められているとも言われています。野菜にようじや割りばしを差して作ります。

3.盆花
…桔梗や百合の花をお供えします。先祖の霊は花に宿って家にとどまるとされています。

4.お供え
…季節の果物や野菜、砂糖菓子、もち、団子、そうめん等をお供えします。

5.
…水をいれてお供え。季節の野菜を刻んで供えるところもあるそうです。

6.真菰(まこも)の筵(むしろ)
…机の上には真菰で編んだ筵を敷きます。筵がない場合は、白布を敷きます。

先祖を迎えるためのしきたり② 迎え火

先祖の霊が帰って来る13日の夕方になったら、迎え火を焚きます。

ほうろくの器を置いてオガラや稲わらを焚き、外から内に入るように火をまたぐと、先祖の霊を迎えたことになります。火を焚くことができない家では、電気の提灯を軒下に下げれば霊を迎えることができます。

先祖を迎えるためのしきたり③ 棚経

僧侶を招いて、霊を慰めるお経をあげてもらいます。精霊棚の前で行うので、「棚経」といいます。新盆等重要な年以外は省略することも多いようです。

新盆(初盆)
…家族を亡くして初めて迎えるお盆のこと。特別な供物を用意したり、例年より丁寧に供養を行うのがしきたり。故人が生前好きだった食べ物等をできるだけたくさん供え、棚経をあげてもらいます。盆提灯は、新盆の場合は白一色のものを使用することが多いようです。また、四十九日法要以前は霊がまだ現世にとどまっていることから、翌年を盆供養として扱うことが一般的です。

先祖を迎えるためのしきたり④ 送り火と精霊流し

お盆の終わる日に、送り火をたいて霊を見送ります。
京都東山の「五山送り火」は、室町時代から続く送り火。京都を囲む五山に「舟形」「妙法」「大文字」「左大文字」「鳥居形」をかたどった火を燃やし、お盆に訪れた精霊は、この炎を見ながら帰っていくとされています。

その後明け方までにお供えものを川や海に流す「精霊流し」も以前はよくおこなわれていました。
稲わらやオガラで作った精霊船に灯篭やロウソクをたてて精霊をあの世に送り出すのですが、実際に川や海に流すと汚染の問題があり、一般家庭で行うのは自粛したほうがよいそうです。

お盆の流れ(一例)

8月7日(7日盆) 墓を磨いたり、掃除をしたりする。
8月12日(草の市) 市で花やろうそくを買う。
8月13日(迎え盆) 精霊棚をしつらえる。墓参りに行き、その帰りに玄関で迎え火。
8月15日(藪入り) 外に出ていた家族が帰省。親戚の精霊棚にお参りする。
8月16日(送り火) ちょうちんや精霊棚を片付けて送り火をたく。

お盆の風習については地域によって様々ですが、祖先を大切にしようという思いは同じ。
普段なかなか会う機会のない親族との親交を深めたり、故人をしのびながらゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。

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※この記事は2017年7月11日の公開後、追記・修正をして2019年8月10日に改めて公開しました。