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鴨方の特産品「手延べ麺」の豆知識

  • 料理

更新日:2018年07月15日

岡山県内で特に製麺が盛んなのが、浅口市の鴨方エリアです。今回は岡山の特産品である鴨方の麺づくりの歴史や、手延べ麺にまつわる豆知識などを紹介します。

「麺」は中国からやってきた食べ物

索縄

「麺」が生まれたのは、今から1700年前の中国。魏の時代の頃と言われています。

日本へやってきたのは7世紀頃のことで、現代の素麺のルーツとなる、もち米を伸ばして縄のようにねじり合わせた「索餅(むぎなわ)」という料理が伝えられました。

索餅は室町時代になると作り方や形も現代の素麺とほぼ近い形に進化し、そうめんを表す言葉として「索麺」や「素麺」の文字が使われるようになりました。

そして江戸時代になると庶民の暮らしにも一気に麺料理が浸透し、蕎麦屋やうどん屋といった現代の外食産業のような商売も生まれたそうです。

日本古来の食べ物だと思っていた麺類は、もともとは外国からやってきた食べ物だったのですね。

鴨方で発達した麺づくりの歴史

岡山県の手延べ麺の主な産地は浅口市・鴨方です。

鴨方が麺づくりの産地として発達した理由は、遥照山から湧き出る水、瀬戸内海沿岸の塩、周囲に良質な小麦の産地があったこと等、麺づくりの材料に恵まれていたことが挙げられます。

そのため日本に麺が伝わってから200年後の9世紀頃には、すでに鴨方エリアでは麺づくりが行われていたという文献も残っています。

水車による粉ひき写真:水車による粉ひき機(かも川手延べ素麺株式会社)

400年ほど前の天正の頃には、鴨方を中心に岡山県の西南部や備中地方の南部一帯が手延べ麺の産地として栄えており、さらに江戸時代の後半になると水車が普及したことで粉ひきがより手軽になったことから麺づくりがより盛んにおこなわれるようになりました。

初めのころは農業が落ち着く冬の間の農家の副業として作る人も多かったそうですが、やがて専業として麺を作る人たちも現れ、明治の終わり頃には鴨方は兵庫県の播州につぐ手延べ麺の産地として全国に知られるようになりました。

手延べ麺の作り方

手延べ麺の作り方

麺づくりは製法の違いによって「手延べ麺」「手打ち麺」「機械麺」に分類できます。

鴨方で取り入れられているのが「手延べ麺」という手法。はじめに小麦粉に塩水を加えながら大きな餅の形にねりあげ、これを1本の長い棒状にととのえ、何度も熟成させながら少しずつ延ばして、そうめんやうどんの細さになるまで仕上げていきます。

最終的にそうめんの場合は生地を3万~4万倍に、うどんの場合でも5千倍になるまで延ばすことになり、生地を作り始めてから麺の完成までには約30時間もかかります

そのため当時は「麺づくりは近所の付き合いもままならない」と言われたほど大変な作業でした。

手延べ麺の太さの基準

手延べ麺は2本の棒を使い均一の力をかけてのばしますが、機械のように全く同じ太さにはのびないため、ややふぞろいな厚みが特徴です。

それでも太さの基準が定められており、「」という単位で手延べ麺の太さを表します。

例えば25番というと、一本の麺の太さが一寸(約3cm)の1/25であることを表しています。

手延べ麺の太さの基準

手延べそうめんの場合は、太そうめんが24~29番(約1.6~1.2mm)普通品が33番(約1mm)極細品が40番(約0.75mm)ぐらいが目安。

また、10gあたりの重さで何本の麺があるかを基準にして、普通品は65~75本、極細品を150本とする場合もあります。

手延べうどんの場合は15番(約2mm)より太いもの、冷や麦、蕎麦、中華麺はうどんと素麺の中間ぐらいの太さが基準とされています。

「厄済みそうめん」は何のこと?

そうめんのイラスト

手延べそうめんは、乾麺とはいえ麺の中にわずかに水分が残っています。そのため梅雨の間に倉庫に保管していると麺がこの水分で高温発酵します。

こうした状態になることを「」といい、ゆでたときにコシが強く風味が良いことから「厄済みそうめん」はおいしいと言われてきました。

一年前に作られた厄済みのそうめんを「古品(こひん)」と表示しますが、現代の場合は空調設備がととのった工場でそうめんが作られていることから、製造後三カ月ほどで厄済みの状態となります。

そのため現代においては、古ければ古いほど良いというものではなくなってきています。

おいしい麺の茹で方

茹でるときの目安は手延べ麺100g:お湯1リットル

まず大きめの鍋で、たっぷりのお湯を沸かします(手延べ麺100gに対して、お湯1ℓが目安)。

沸騰させたお湯の中にパラパラと麺を手早く入れて、所定の時間茹でます。茹で上がり前には、火が通っているかどうか必ず1~2本試食するのも忘れずに。

基本的に「さし水」は必要ありませんが、鍋が小さい場合はお湯がねばるので、吹きこぼれそうな場合は様子を見ながらさし水も加えてみてください。

また、麺がもっともおいしいのはもちろん茹でたて。他の材料の準備がととのってから最後に麺を茹でるのが、おいしく食べる最大のコツです。

※さし水…材料をゆでている途中で少量の水を加えること。

麺の保管方法は…

乾麺の状態で保存するときは、虫がついたり、変質を避けるために、湿気のない温度の低い場所で保管するようにします。茹でた調理済みの麺は、早めに食べきるようにしましょう。

そうめんを使ったアレンジレシピ

麺つゆと薬味でいただくことが多いそうめんですが、ここではそうめんを使ったアレンジレシピの一例を紹介します。

そうめんのレシピ1
【夏野菜たっぷりサラダそうめん】

トマトやきゅうり等の体を内側から冷やしてくれる夏野菜をたっぷりトッピング。野菜もたっぷり食べられるサラダそうめんです。

そうめんのレシピ2
【ピリ辛韓国風あえめん】

めんつゆにコチュジャン等を加えて、ピリ辛にアレンジ。食欲がない日にもどんどん箸が進みそうな味付けです。

そうめんのレシピ3
【冷たい豆乳めん】

冷たく冷やした豆乳スープでいただく、アレンジそうめん。鮮やかな緑色は、ミキサーでなめらかにした枝豆の色合いです。

そうめんのレシピ4
【みそラー油そうめん】

そうめんがまさかのラーメン風に。あったかいスープといただくので、肌寒い日にも◎